刑事弁護日誌(1)

依頼者の被疑者の方が処分保留で警察署の留置場から釈放されました。被疑事実は、建造物侵入・窃盗。全く身に覚えのないことなので、当初から徹底して否認でした。最初の20日間の勾留期間は嫌疑不十分で釈放されました。

ところが、同一罪名の別事件で再逮捕。再び20日の勾留満期の日に再び嫌疑不十分で釈放されました。警察は、防犯カメラに写っていると言っていました。にもかかわらず、嫌疑不十分ということは、警察が言っていたことは本当のことだったとは言えないと思います。第一回の勾留時に勾留理由開示公判も開きましたが、裁判所は「罪を犯したと認めるに足りる事由」があると判断していました。この勾留理由開示公判手続きではどのような証拠で「罪を犯したと認めるに足りる事由」があるとしたのかは明らかにはされません。

しかし、この事件は、明らかに見込み捜査であり、裁判所もそれに手を貸したということになるかと感じます。いずれにしても、裁判にならなければ、検察・警察がどのような証拠をもっているかは、全く分かりません。ですから、大事なのは、やっていないなら、警察・検察が何と言おうが、証拠があるはずがないとの強い確信のもと、「やっていない」(否認)と言い続けることです。
そして、弁護士としては、取り調べを含めた捜査の進行を可能な範囲で把握して、見通しを告げ、依頼者に対して、「やっていない」と言い続けることを励まし続けることをしなればならないのです。
今回の件でも、行くのに片道1時間ほどかかるところですが、土日も含め、2日から3日に一度は接見に行きました。依頼者と一緒に頑張った甲斐があったと感じました。